九州出張記その②:古い歴史の町の未来産業企業2

さて、その企業は小高い山の頂上にある(決して丘ではない)もう使われていない公共施設の広大な敷地と建物を利用し、模擬実験場や開発など必要な事全てがここで可能となる環境だった。そして、その企業のみならず日本・ドイツ・イタリアのロボット工学・医療・生命体工学等に携わる世界のトップクラスの大学・研究機関の組織が共にある国際的な開発センターになっていた。「あそこが玄関だから」とタクシーの運転手さんが教えてくれたのは、会社のロゴも無い無機質な感じの入り口だった。受付付近にいた女性に断りを入れると、「あ、お待ち申し上げておりました」と、とても丁寧な感じで応接室に通された。そして対応してくださったのは、当初予定の現場の女性ではなく、その上司の方で、しかも社長の側近だった!ラッキー!やっぱ、今回の急な転換はこれだったのだ!私の場合、災い転じて福となるような急展開する場って今までにも何度かあるのだ。その方は最初からとても気さくな感じで、私もリラックスムードで企画提案を進めていけた。そしたら、段々その方もくだけてきて、業界のみならずいろんな話もしてくださって、結構笑える話もちらほら!まずこの狭い業界の中にも派閥があり()、この会社は最初北九州市にあったのだけども、市から嫌われて()追い出された!との事。私がこの後北九州に用事がある旨話をすると、「あ、北九州ではうちの話しないほうがいいですよ。」って。。。どーゆー事?その後、どんどん地元話が続いたのだけど、北九州市と福岡市は仲が悪いとか。北九州はロボット業界に冷たいけれども、福岡市は専用施設もあって活動しやすいとか。しいては、元北九州市長は国土省の役人上がりだから、やたらに橋をかけて美観を損ねる建物も沢山作ったとか。「あの小倉城の目の前に、警察がでかい建物作って「POLICE」ってあるんですよ。そのせいで、新幹線から小倉城が全く見えなくなってしまってね~。全く美観とか景観なんて考えてないですよ。あと北九州っていうと、なんだろうな~・・・。」私が「あ、確かパンチパーマって北九州が発祥なんですってね!」と言うと、「あ、そうそう!パンチパーマでしょ。あと競輪!。市の中心に『メディアドーム』なんて競輪専用施設があるんですよ。あと、手榴弾投げ込まれたりしてね~。」あ、北九州市民の方、火をつけないでくださいね~。あ、私にもね~。一通り話が終わった後、この企業の財産ともいうべきロボット1台1台を説明してくださった。いや、実際ロボットを見て、正直日本のロボット技術がここまで来ているなんて知らなかった!地球の真反対からも遠隔操作が出来るというのだ!しかし、海外は国を挙げて支援しているが、日本はまず前例主義で、実際の日本の社会はロボットに対して、冷遇処置なのだそうだ。「実際、M&Aのオファーの話など外国から来るんです。確かに、僕たちもカネの事を考えたら、外国企業の傘下に入ったほうが儲かるし、すごく楽ですよ。製品の輸出じゃなくて、頭脳も一緒に外国に行くわけですしね。でも、ここで踏みとどまっているのは、やっぱり地元が好きだから、なんです。日本の九州にこんな企業があるんだってね!僕たちもがんばっているんですよ。正直商売は厳しいですよ。国は何も保護してくれないですしね。でも僕らはベンチャー企業ですから、大企業みたいに守りに入っていたらあっという間に沈没してしまいますから、先行投資でやってるわけです。」確かにこれは由々しき事実だと思う。日本人の能力や才能がどんどん海外へ流出しているのは、研究者だけにとどまらずあらゆる業界に至ってもそうである。そして、彼の話を聞いて、こんな事を思い出した。行政は、よく競合企画コンペを募集しているが、そのいずれもが絵に描いた餅状態のものが多いという事も。以前、外国人旅行客を増やす施策として「ジャパニーズ・ポップカルチャーを紹介する」というお題目の企画コンペがあった。その概要曰く「外国人にとって、日本はクールジャパンとしてアニメ、ロボット、アキバなどが有名である。これをクローズアップして外国人客を増やす」というものであったが、いったい役人はどれだけこういう内情を知っているのだろうと。現状を知らずして、また知ろうともせずにやみくもに税金を使い込んでこのような不毛な愚作を投げかける政府のあり方にも首をかしげる。屋上に出ると、開放感いっぱいの空間が広がった!「いい眺めですね~」「外国人の研究者達は長期滞在するので、ここが気に入って家族を呼び寄せて生活するんですよ。僕も小さい子供がいるので、ここに引っ越してきました。」と、ふと父親の顔を覗かせた彼の目線の先には、雄大な玄海灘が広がっていた。確かに、緑は多いし海があるし、自然がいっぱいある。歴史あるこの地にハイテク型未来産業企業あり。こういうミスマッチと、不況の中でも恐れを知らない新進気鋭のべンチャー企業の発展を、陰ながら是非とも応援したい!と思った私であった。※ 帰りも行きのタクシーの運転手さんに来てもらいました。なんとなく味のある後ろ姿です(笑)

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