スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする 2009. 6. 25.
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今やれっきとした統合失調症の主人公が、精神病院(刑務所)から退院(出所?)してシャバの保護施設に入居するところからストーリーは始まる。そこで彼は自分の少年時代を振り返り、記憶のパズルを完成させようとするのだが・・・結果的に「かもめのパズル(精神病院からの解放の象徴?)」は完成せず、対照的に精神病院のパズルは完成している。つまり、少年時代から既に妄想型人格障害を発症していたというオチ。思い出した結果、精神病院へ逆戻り。もしかすると、過去に同じことを何回も繰り返しているのかも知れない。
精神障害の発端は、恐らく母親の母性と淫売との乖離。この両親は最初は仲良く二人でパブに出掛けたりしており、息子の前で結構いちゃいちゃしている。この母親の“女”の部分を認めることができないことから、親父が淫売と浮気して母親を殺害、そして淫売が母親とすり変わった・・・という妄想に行き着く。彼がノートに綴っていたのは、自分の過去の創作なのだ。しかし、少年時代のスパイダーが殺したのは、淫売のイヴォンヌではなく実の母親だった。子供の頃から、落ちているものを拾ったり、糸を張り巡らせたり、精神が歪んで行くのが良く解る。
非常に丁寧な作りで役者の演技が非常に素晴らしい。レイフ・ファインズの演技は見ていて嫌になるほど秀逸。ミランダ・リチャードソンは3役(抑圧的母親の象徴で、スパイダーには他人が母親またはイヴォンヌに見える)も演じ分けていてスゴイ。ガブリエル・バーンは難しい父親役だが、母親が息子に殺されたときの表情が忘れられない。この父親が一番不幸で気の毒な気がする。
個人的には大満足の作品だったが、大衆に受けるような映画ではない。特に盛り上がりもなく終止どよ〜〜んとした雰囲気は重くて辛い。
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