「きみとぼくが壊した世界」 西尾維新
大英博物館は展示物の写真撮影OKなんですねぇ。
ロンドン塔って塔じゃなくて宮殿だったのですかぁ。
そんな事はどうでもいい話で。

主人公たちの掛け合いなどギャグ的な部分ですらすら読ませるのはいつも通り。
この作品は推理小説の形と取っていますが、事件のトリックはさして重要でないのでしょう。作中でノックスの十戒(*1)が話題にされますが、その事がこの小説を正統的なミステリーと認められなくてもよい、という作者の意識を表していると思えます。
最近この作者は「小説を書くということ」とか小説の可能性やら役割などをテーマにする事が増えているようです。
昨年発表された『トリプルプレイ助悪郎』では、2人の小説家に其々「この世には未だ”小説”と言える小説は一冊もない」「”小説”なんて、書けて、読めればよい」と語らせていましたが、西尾氏自身がこの両方の考えを持っているのでは。
氏の作品の大半はライトノベルと呼ばれるもので、「読みやすくて、萌えがあればOK」と乱暴に捉えられる面のあるジャンル、という認識が私にはあります。
このジャンルの作家である西尾氏は、「読めればよい小説」と受け取られても構わないし、一方で小説の可能性を色々と試行して読者を驚かせてやろう、と目論んでいるのだろうと期待しています。
今回はその期待にはちょっとそぐわなかったかな。でも話のまとめ方は結構好きです。
*1 : ノックスの十戒・・・ロナルド・ノックスという人が著した「推理小説を書く際これだけは守るべきである」という10項目のルール