その446 日本電子出版協会 EPUB説明会
4月7日、日本電子出版協会主催のEPUB説明会に行って来た。
この日はお客さんのところに寄ってから行ったが、時間に余裕のあるつもりがその間に別の用を済ませようとしてギリギリに滑り込むという事態に(^^; 定員250人満員御礼の中、辛うじて後ろの端の方に座ることができた。
席について少ししたら、ベネッセコーポレーションの桑野さん登場。3人掛けのテーブルの真ん中が空いていたのでそちらにずれて、座って頂いた。
セミナーの資料は、当日の15時頃サイトにアップされたというメールが来た。残念ながら、私は外出先でそのメールを確認。仕方ないかと思っていたところ、隣の女性が「一緒に見ませんか」とおっしゃってくださり、3人で見させていただいた。これは本当にありがたかった。やはり資料があるのとないのではだいぶ違う。なのでその方には感謝感謝だったのだが、私が真ん中のため、真ん中に置くのが申し訳なく思ったためか、提供してくださった方から却って遠くに置いてしまうという失礼なことをしてしまったり我ながら何をやっているのかと思ったが、結局私の席の前方に置いてあるメガネケースに立てかけるような形で落ち着いた。
セミナーは、まずEPUBの概要説明、次に日本語拡張案の説明、2つの事例と進み、その後同じ会場で懇親会となった。
詳細は資料をご覧いただくとして、ここでは日本語拡張案のことを中心に書いてみたい。これについてはその場で挙手によるアンケートも行われたが、ルビについてのところは、InDesignでの事例を思い出させた。
拡張案では「モノルビとフォールバック情報が使用できること(熟語ルビ、グループルビを要求に含める可能性あり)」ということで、モノルビ主体に考えられていた。が、実際には熟語は相当多いわけで、現状のXHTML1.1のルビと同じように、1字につけた場合でも2字につけた場合でも対応できるようにしておけばいいのではないかという意見が出た。
実際、モノルビだけとなると入力も面倒だし、大抵の人は熟語にグループルビを振る。ただ、実装によってはグループルビが正しく動作しない可能性もあるという実例をInDesignで経験したのでご紹介したいと思う。
まず、メディア木龍のサイトでruby_trouble.zipをダウンロードし、解凍後、テンプレート(拡張子.indt)から新規ファイルを開いて、書き出してあるxmlファイルを読み込んでみて欲しい。この記事を書く前に、ツイッター等で検証をしていただいたのだが、Windows版の場合、どのバージョンでもグループルビがモノルビ扱いになってしまい、とんでもない表示になってしまう。これは仕事で気付いてInDesignのバグなのか、はたまた仕様なのかと悩んでいたところなので思い切って書いてみた。
その結果、Mac版では問題なく表示でき、Windows版ではCS4でもダメだという結果が出た。WindowsでもMacでもテンプレートが使えてルビ以外は同じ結果を再現できたのは嬉しかったが、ルビの多い仕事でこれは結構きつい。何とかこれは改善していただきたいと思う。
それから、グループルビと熟語ルビというのがあるのだが、グループルビの場合、それらの文字は分離禁止になる。したがって、「六条御息所」のように文字数が多かったりすると、その分は次の行に送られることになる。そこで、それを分離できる「熟語ルビ」というものを要求に入れるかどうかというアンケートがあった。
DTPの場合、5文字も次行へ送られたら前の行の字間が開いて見づらくなるので、これはぜひとも欲しい機能だが、画面の場合はお尻はバラバラでも文字間が開かない方が可読性が高いと思うし、実装上もそうなっていると思うので、まああれば嬉しいけど、なくても問題ないかなと思う。
ルビの件に関連して、文章物こそXML組版というページの最後に、XSLTも含めた双方向のXML組版を体験していただくためのサンプルがあるので、もしよろしかったら試していただけると嬉しい。実験してみてもし何か不審な点があればこちらのフォームからご連絡いただければと思う。
サンプルについては、これからの方向として、JepaX入力ツールであるJepasspo(ジェパスポ)を使って入力して、そこからInDesignデータにしたりePubにしたりするようにしたいと思っている。それにはまず段落スタイルや文字スタイルを英文字にしないと(^^; いずれePubが日本語化したらそういう気遣いはないだろうけれども、今現在ではそういう工夫が必要なようだ。
イーストさんによる青空文庫のEPUB化については、帰宅後いろいろ試してみた。
まず、資料にあるAdobeのDigitalEditionsをインストールして、青雲(AoKumo) ◆青空文庫 on クラウド◆からepubファイルをダウンロードしてみた。フォントが埋め込まれているので、さすがにきれいだ。ただ、注意したいのは、フォントが埋め込まれているために容量が大きいことだ。最初は『それから』をダウンロードしようとしたのだが、容量が大きすぎてうまく行かなかったので、『虚子君へ』という手紙文をダウンロードした。試してみるときは、あらかじめhtmlの方で長さをチェックしてからの方がいいと思う。
もう1つ、FirefoxのアドオンのビューワーであるEPUBReaderも試してみた。これは軽い。結構長いものでも問題ない。ただしフォント埋め込みには対応していないので、埋め込まれているとかえって読みにくいが、いちいちローカルにダウンロードしないで読めるのは助かる。立ち読みに便利だ(^^)
立ち読みということで思い出したが、ツイッターを見ていたら、出版契約の問題が出てきた。正直いって、そこは私にとっては盲点だった。著者にとって、いろいろな媒体で自分の著書が露出するということは歓迎すべきことだ。ところが電子出版に消極的な出版社もある。そういうところと現状の出版契約の雛形をちょっと変えたような契約を結んでしまうと、著者にとっては悲劇になるのだ。
出版契約書の雛形は、財団法人日本書籍出版協会のサイトからダウンロードできる。これを見ると、次のようなことが書かれている。
(排他的使用)甲は、この契約の有効期間中に、本著作物の全部もしくは一部を転載ないし出版せず、あるいは他人をして転載ないし出版させない。
2.前項の規定にかかわらず、甲乙同意のうえ本著作物を他人に転載ないし出版させる場合、甲はその処理を乙に委任し、乙は具体的条件について甲と協議のうえ決定する。
このあたりは現在どうなっているのだろう。
たとえば、主人公の運命の分かれ目で、読者がどちらに進むか選べるとか、人物相関図を見ることができるというのは、これはゲームソフトの分野で1つ1つの作品で著者とそれらの専門家が協力して作り上げていく必要がある。
宣伝用に立ち読みサイトというのも出てくるだろうから、そういうところへの手配とか、これまでの作家と編集者のパートナーシップを活かせるところはこれからもっと多くなるように思う。もちろん著者が自分で紙はここ、電子化はこことそれぞれ別に契約するという方法もある。
電子出版の場合、DRMで著作権管理をするが、その場合、一定期間その作品を決まった端末で読む権利を与えられるものが多い。時にはその期限も到来しないのに、事情で読めなくなることもたまにある。また、気に入った本があっても人にプレゼントしたり貸すこともできない。さらには1つ1つの分割されたファイルは安価だけど、最終的には紙の本より高くなることもある。そうなると、気に入った本はやはり紙やその他のパッケージで購入したいと思うのが人情だろう。内容によっては、それこそ思い切り凝って豪華本を作るというのもありだ(今は時代的に少し苦しいかもしれないけれども)。COW BOOKSのように、そういう綺麗な本や個性的な本を集めて販売している書店もある。
情報としての賞味期限の短いものはどんどん電子書籍化していくというのも手だろう。となると、紙の雑誌は確かに苦しいかもしれない。でも、その中にもスクラップブックを作って保存しておきたい情報もあるだろう。それらの記事をバラで購入できたり、スクラップブックを作るWebサービスなども出てきたら楽しいだろうなぁ。
大きな変化は恐いけど、時代が後ろに流れないのであれば、マイナスばかり考えていてもあまり良いことはない。それならば、「あれができる」とか「こういうこともできる」とか考える方が楽しいのではないかなぁ、と、思ってみたりしている。
懇親会では、拡大教科書の話やXML組版の話など、何人かの方々とお話しさせていただいた。
拡大教科書については、必要な人がとにかく普通の値段で購入することができるようにすることがまず第一だという話をうかがった。確かにそうだ。現状、ボランティアが一生懸命作っているのだが、あまりにも手間がかかるため、使う人に届くまでには大変な金額になってしまっている。そのためにも電子書籍は有用だ。
それから、情報は紙にするときにはどうしたって1文字はみ出したら詰めるし、文字を削ったりするという話があったが、InDesignで組む場合、なるべくスタイルを作り込んで、XML自体にはそのような情報は入れない。また、InDesignから書き出されるタグは自分で定義したものや、指定したものしか書き出されないので、詰めようが何しようがそれらの情報はXMLに書き出されない。文字を削った場合は元のXMLと差異が出るかもしれないが、それをまた書き出せばいいのだから、それほど気にする必要はないように思う。
ただ、InDesign上で修正する場合、構造を壊さないように注意する必要はあるし、これが結構気を遣ったりする。XMLを入力した人とデータを修正する人が異なったり、構造パレットの使い方がわからなかったりすることもあるので、そういうところは気をつける必要はあると思う。
セミナー以来、おかげさまで頭の中はヒートアップ状態。あれもやりたいこれもやりたいと、意欲が湧いている。行ってよかった。







> 電子出版の場合、DRMで著作権管理をするが、
これは「オンライン出版で課金をする場合は」とした方がいいかもしれない。
CDやDVDというパッケージだって電子出版だから。
コメント by みよこ — 2010 年 4 月 11 日 @ 3:13 PM
> サンプルについては、これからの方向として、JepaX入力ツールであるJepasspo(ジェパスポ)を使って入力して、そこからInDesignデータにしたりePubにしたりするようにしたいと思っている。それにはまず段落スタイルや文字スタイルを英文字にしないと(^^; いずれePubが日本語化したらそういう気遣いはないだろうけれども、今現在ではそういう工夫が必要なようだ。
これについて少し訂正。
InDesignからePubにするならスタイルを英文字にする必要があるけれども、XMLからePubにするならば、そんなことは関係ないです。
近々、XMLからePubの方向でも楽になると思いますが(^^)、とりあえず、HTML差込ツール EXCEL2HTMLとSigilを使ってePubを作るためのテンプレートを用意しましたので、お使いいただければと思います。
http://www.mediakiryu.biz/etohepub.htm
コメント by みよこ — 2010 年 8 月 8 日 @ 5:15 AM