その423 『夜にはずっと深い夜を』
鳥居みゆき著『夜にはずっと深い夜を』を読んだ。
色々な人の話がつながって最後に輪になるという話の流れは、奥田英朗の『ララピポ』によく似ているが、そこに展開されるお話は、鳥居みゆきのネタの世界そのものだった。
ふと持ったある感情を、突き詰めて行ったらどうなるか。そういう話が、あの大きな目でじっと見つめているのが目に浮かぶような、深い観察眼をもって書き連ねられている。
表紙もすごい。ちょっと見た目には、黒くてカッコイイデザインという感じなのだが、夜、ふと見ると、非常に怖い(^^; 夜にはぜったい表紙を凝視しないことをおすすめする。
お話の合間合間には、それぞれの主人公の妄想日記が挟まれていたり、なんだか絵の上に雨だれのような連綿体の文字がびっしりと敷き詰められた、中扉のようなものが挟まっていたりする。これ、鳥居みゆきの字なのかなぁ。
最後の連綿体の背景には鮎原こずえがいて、その傍らには“女はど根性”という、これまた連綿体の文字があったのには思わず顔がほころんだが、他の文字がなかなか読めない。じっくり解読すればまた何か深い世界が見えてくると思うのだが、これがなかなか大変だ。一通りお話を読んだ後は、この連綿体の解読でも楽しめるわね。
お話の最後の一行では、「あぁ、そうだったのか」とハッピーエンドのすがすがしさを感じたが、そのすぐ後、「ん?」とまた怖くなってくる、実に深くて味わいのある本だった。







