その380 『ロス:タイム:ライフ』
小林雄次著、筧 昌也原案『ロス:タイム:ライフ』を読んだ。
この作品は、テレビドラマで放映されたものを小説化したもので、テレビで放送されたものの一部と、この本のための書き下ろしが併せて収録されている。
死を迎えた人に、人生の中で空費された時間を清算するために与えられるロスタイム。ドラマでは、大体3時間くらいから、例外で12年。小説では、1時間半から12時間までと、かなりばらつきがあるが、大体3時間から5時間くらいが平均的なようである。
いきなりわけもわからない状態で、サッカーの審判団のような死神にロスタイムを告げられ、その時間を有意義に使うべく促される。
ドラマではヌッ君(温水洋一)が全編に登場していた(といいつ、私はまだ最後のヌッ君特別編2編を見ていないのだが)が、小説の方は、審判団以外、全編に登場する人物はない。それでも全編がしっくりと纏まるようにできている。
ドラマはサッカー風の解説の面白さで、比較的軽い感じだったが、小説は、泣けた。特にドラマで友近が演じたスキヤキ編(小説では「最後の晩餐」)と、小説書き下ろしで最後に登場する「最後の一夜」には、涙が止まらなかった。
どことなくおかしさを醸し出す審判団と、ロスタイムという限られた時間に精一杯生きようとする主人公たちで作られる物語は、読後、上質なおとぎばなしを読んだ満足感を味わえた。
それにしてもたった数時間のロスタイム。私だったら何ができるだろうか。
試しにドラマのホームページで自分の現時点でのロスタイムを調べたら、23時間だった。約1日。もし本当にロスタイムを与えられたら、その時間で何をするか。考えてみるのも悪くないなと思った。







