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2007 年 12 月 28 日

その371 『人妻魂』

カテゴリー: 小説・作家 — みよこ @ 12:00 AM

人妻魂嵐山光三郎著『人妻魂』を読んだ。ヒデさんのお勧めで、早速注文。じっくり読んでたので、お勧めいただいてから時間がかかってしまった。

さて、この『人妻魂』。マガジンハウスの雑誌「ダカーポ」に連載されていた『人妻歳時記』の中から文人の妻についてのみを単行本化したものだそうだ。
ダカーポは残念ながら12月5日発売の号で休刊だそうだが、うちにも1冊あるが、セカンドバックに入るサイズの中にギッシリとつまった知識欲を刺激する内容には、ファンも多かったのではないかと思う。

この本には、北原白秋の3人の妻や谷崎の最初の妻千代夫人の他、瀬戸内作品や林真理子作品でおなじみの人たち、時代を反映したアナーキーな人たち等が登場する。
1人1人にあてられるページ数が少ないので、かなり表面的な感じはするが、それでもこれだけ多くの女性の生き方が読めるのはうれしい。読み終わった後も、パラパラとめくってはところどころ読み返したりしている。
男性著者が男性目線で書いたもののせいか、女性である私が読むと若干毒を感じるのだが、それでもライトで面白いので、特に文学に興味のない人でも気楽に読める。

私がこの本の中で特に印象に残ったのは芥川龍之介。人妻ではなく、やたらもてたという芥川龍之介のことだ。

この人については谷崎とのかかわりの部分だけで、あとは学校の授業でしか知らなかったが、この本を読んでみたところ、なんと、普段から死にたくて死にたくて、しかも一人では死にたくなくて、随分困った人だったらしいことがわかった。

心中と言ったら太宰治が有名だが、この人もそれに負けず劣らずで、
ある女性と一度心中未遂して、再度挑戦しようとしていたところをこの本に登場する柳原白蓮が止めたという記述がある。白蓮は芥川に

「アンタ、死ぬなら一人で死になさい」

と叱り飛ばしたそうだ。

で、芥川龍之介はこのときは思いとどまるのだが、結局その3ヵ月後に自殺してしまう。
ということは、芥川が自殺したのが昭和2年7月24日だから、この事件は昭和2年の4月。
谷崎と芥川が料亭に泊まって松子夫人と知り合ったのが3月なので、その直後なのねぇ。

いずれにしても谷崎との論争の最中ということで、まるで谷崎を精神的心中相手にしたという感じだわね(--;
もしかしたら谷崎と料亭に泊まったときも死ぬつもりだったのかもしれないなんて、思ってしまうわ。

この本には芥川の妻も登場する。夫に自殺された後、2人の優秀な息子を育てた女性として。

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