その346 『キャズム』
先月18日、XMLコンソーシアムWeekのXMLコンテンツDayに行ってきた。
午前中はクロスメディアパブリッシング部会、午後はXMLDB勉強会の発表だった。
この日は私の仕事にとって身近な分野のクロスメディアパブリッシング部会の発表を聴くのを主な目的に出かけた。
午後のXMLDBについては、以前この種のソフトをさわってみたのだが、私にとって使いにくく、「もういいや」という気になっていたのだが、せっかくだからと参加してみた。
これが大正解だった。
XMLDB勉強会の発表で標記の本が紹介されたのだが、実はこのXMLDB自体、一度キャズムに落ち込んでいる製品だ(だから、私も「もういいや」という気分だったともいえる)。ところが先ごろXQueryという問い合わせ言語が標準化されたことから、再び可能性が出てきた。
勉強会では、XQueryの使用例を日本語化するという事業をされていた。
ここでキャズムについて少し説明すると、ハイテク技術やサービスが、メインの市場に出てくるまでには、深い溝が存在する。それは、ハイテクオタクやビジョン先行派から形成される初期市場のあと、企業で予算と力を持っている人たちに受け入れられるまでに存在する大きく深い溝のことだそうだ。この溝があまりに深いため、多くの技術がここで消滅していった。
ジェフリー・ムーア著『キャズム』では、その大きく深い溝の越え方がケーススタディを交えて説明されている。
奥付を見ると、2002年1月22日初版発行、2007年3月1日初版第9刷発行となっている。日本語訳が2002年、この本が最初に刊行されてから10年以上、多くのハイテク事業者のバイブルとして読まれ続けているそうだ。
この本の中で、キャズムはどのハイテク企業にも訪れるが、マイクロソフトについてだけは例外と書かれている。だが、今ではそのマイクロソフトさえも巨大なキャズムと闘っているように思う。たとえばASP.NET。
この技術は長いことPHPと闘ってきた。Webサーバー分野ではWindwsの方が少数派なので、まずは初期市場のユーザーのために、ASP.NETが使えるレンタルサーバーがなくてはどうにもならないということで、マイクロソフトではASP.NETが使えるレンタルサーバーを紹介し、メインの企業ユーザーのためにはその他の技術と共に導入事例を提供している。
ASP.NETの利点は、Windowsサーバーであれば、.NET Frameworkのバージョンの違いはあるが、XMLが標準で扱えることだ。もちろんXSLTも。AmazonのWebサービスでXSLTを覚えた個人ユーザーの中には、他のWebサービスでXSLTプロセッサが提供されないために躓いている人も多いと考えられるので、このXSLTが標準で使えるというのはかなり有利に思える。
一方、PHPはどうかというと、かなり有利に展開している。が、XMLを扱うとなると、とたんに面倒なことになる。PHPはバージョン5がリリースされてから随分経つが、レンタルサーバーの世界では今も4が主流だ。そのような中では、XMLを扱う場合には別にモジュールをインストールする必要がある。自分のところで管理しているサーバーなら問題ないのだが、そうでない場合、プログラムを動かすサーバーではどのモジュールが使えるか等、いちいち調べなくてはならない。とても面倒だ。特に人に依頼されてWebプログラムを作る際にはさらに面倒だ。
そんな中、Ajaxが出てきた。AjaxはPHPやASP.NETのようなサーバー側の技術ではなく、ブラウザによって動きが変わるという欠点があるが、prototype.jsのような便利なライブラリが出てきて、Webサービスユーザーには必須の技術になりつつある。このままいくと、レンタルサーバーユーザーは、Ajaxになだれを打ち、XSLTは忘れられる。
でも、ここへきてなぜだかメディア木龍のサイトでもXSLT関係のアクセスが増えてきた。もしかして、XQueryの標準化がXSLTへの関心を呼び覚ましたのだろうか。
2008-01-12 XSLTに関心が再び集まってきているのは、携帯サイトの関係の方が大きいかもしれませんね。携帯サイトでは基本的にJavaScript使えないし。
それに、携帯サイトをXSLTで作ると、HTMLが書ける人ならとても簡単にカスタマイズできるし。検索系のコンテンツには魅力的な選択肢だと思います。







