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2007 年 3 月 14 日

その332 第32回ディジタル図書館ワークショップ(その2)

カテゴリー: ネットワーク — みよこ @ 12:00 AM

まず、午前の部の論文発表。「ディジタル図書館 No.32」の目次では、筑波大学図書館情報メディア研究科の庄山和男氏、永森光晴氏、杉本重雄氏による「メタデータスキーマの再利用を指向したスキーマ設計支援システム」だったが、話の流れの都合か、国立教育政策研究所 教育情報センターの江草由佳氏による「教育図書館における複数コレクションの提供」の発表で始まった。この図書館では、和洋教育関係の図書、雑誌のほか、教科書・大学紀要・地方教育資料・戦後教育資料などを所蔵している。話を聞いていてこれはぜひそのコレクションを見たいと思う魅力的な内容だ。が、どうもこの図書館ではかなり独自の方式で書誌項目を決め、他の図書館との連携は現時点で考えていないようだった。ということで、発表の後、会場からの質疑応答で、そのあたりを聞かれていたが、検討するという答えが返ってきた。

次が、筑波大学附属図書館情報サービス科 嶋田 晋氏、筑波大学大学院図書館情報メディア研究科の宇陀則彦氏、北海道大学附属図書館の杉田茂樹氏、千葉大学附属図書館の鈴木宏子氏、名古屋大学情報連携基盤センターの山本哲也氏、九州大学附属図書館の片岡 真氏、北海道江別市の鈴木敬二氏による「AIRwayプロジェクト:機関リポジトリ活用のためのリンキングサービスの構築」。
AIRwayプロジェクトというのは、リンクリゾルバを通じて機関リポジトリに登録されたオープンアクセス文献への誘導を実現することを目的とし研究開発プロジェクトだ。上記の各大学と国立情報学研究所が協力して進めている。
リンクリゾルバというのは、各種データベースの検索結果や参考文献情報から、自機関で利用可能な一次情報や関連情報への統合的な誘導を支援するツールで、一般に「中間窓」と呼ばれる画面を表示して一時情報や所蔵検索、文献複写依頼、各種検索エンジンーのリンクを提示し、利用者の求める情報へ誘導するのだそうだ。
事前にこれを読んだ神崎氏はなぜこのリンクリゾルバの必要なのか腑に落ちないと言って、盛んに首をひねっておられたが、確かにはてなdel.icio.usのようなソーシャルブックマークがあるのだから、そういうしくみ利用する方がそんな高価なソフトを導入するよりもずっといいだろうと私も思う。どういう仕組みなのか、「はてな」ではブックマークを登録すると自動的にキーワードも取得してくれるし。思い出の壁紙の各ページなどのように、たまにtcさんのハンドルがなぜかコロンビア大学教育大学院(Teachers College)やツアーコンダクターを意味するキーワードとして抽出されるというほほえましいものがあるが(^^)、それでもかなりいい線でキーワードが抽出され、それをもとに他の記事へのリンクをたどれるようになっている。
それよりも何よりも、Webサービスなどでメタデータ自体を提供してくれれば、世の中の頭のいい人々が色々なサービスを開発してくれるだろう。

AIRwayプロジェクトは、基本的には学術雑誌を対象としている。その実現のためには各論文の引用文献のこれとこれは同じものであるという「同定」が必要だが、機械的にできるものは別として、書誌の入力過程や原本のミス、情報のヌケなどさまざまな理由で自動的に同定できないものは手動でということになる。つまり手動で同定しなければならないデータには何らかの誤謬が含まれている可能性が高いともいえる。
発表後の質疑応答でも、引用文献の「同定」が難しすぎるという意見が出されていたが、そういうものについてもメタデータ自体が流通すれば多くの人々が問題を見つけて報告してくれるだろう。

たとえばAmazonなどでも各商品のページの下の方にカタログ情報にミスがあったらお知らせくださいというリンクがあったり、Webサービスの方でも問題があったら投稿できるページがある。これらはカタログデータが広く一般に公開されているからこそできることだ。

論文の最後の方にリンクリゾルバ以外への活用という項目があり、それを読むと、幸いAIRwayサーバはヒットした文献の所在情報の「XMLデータ」を返してくれるという仕組みになっているそうだ。そこで、そこからの可能性について、検索エンジン、連想検索エンジンなどとの連携も考えられると触れられている。
これについてはパネルディスカッションのときにとにかくメタデータの公開を急いで欲しいという意見が出て、それに対して「果たしてそれを公開してみんなが利用してくれるだろうか」というコーディネーターのつぶやきがあったが、それに対しては埼玉大学でカフカの研究をされている方が即座に「私だったらメチャクチャ利用する」と発言された。これには私も大いにうなずき、拍手した。このコメントに、コーディネーターの方は、今までこういう会を開いても提供側ばかりが集まってユーザーの意見を聞くことができなかったと感想を漏らされた。埼玉大学の方は研究者として情報の提供者というスタンスなのだが、図書館側からすれば利用者だろう。私のような「一般ピーポー」でも、谷崎について何でも調べたいと思う。なので、埼玉大学の方の発言には大いにうなずき、拍手した。こういうところこそ発言するべきところだったが、やはり引っ込み思案。大きくうなずき拍手するくらいが精一杯だった。

この後、その3であと2つの発表について、その4で午後のパネルディスカッションについて、その5では電子化の方法論としてPDFでのメタデータ埋め込みや自動組版での情報の埋め込みの可能性について書きたいと思う。

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