その310 『谷崎潤一郎伝─堂々たる人生』
ふるだぬきさんお勧めの小谷野敦著『谷崎潤一郎伝─堂々たる人生』を読み終わった。
この本は、これまで松子夫人のフィルターに縛られてきた谷崎論を、なるべく松子夫人のフィルターから離れて、まず、詳細な年表を作りながら作家の人生を追体験するように書かれている。
帯には生誕120年と書かれていた。
実は、松子夫人存命中の生誕100年の頃、神保町で谷崎の資料を集めていた。今回この本を読んでみて、我ながらなかなかいい線の資料を集めたなと思ったが、その中でも、谷崎二番目の妻の友人だった高木治江著『谷崎家の思い出』は、松子夫人存命中の本でありながら谷崎の妻三人が登場し、しかも松子夫人のフィルターのかかっていない貴重な資料だったことを、今回改めて実感した。谷崎のビジネスに対する姿勢も『谷崎家の思い出』には十分描かれている。では、それ以外の本には松子夫人の実像は見えてこないのかというと、よく読んでみるとちらりと見えてくるものもある。どの本だったか忘れたが、谷崎の実の子鮎子さんと歩く松子夫人を形容しているシーンに小谷野氏がさかんに書いている松子夫人がいる。
『谷崎潤一郎伝──堂々たる人生』を手にとって最初に興味が行ったのが、やはり『蓼喰う虫』の第二の男性の存在だ。その存在についてはその286のときに初めて知ったのだが、これについてはまた後で書く。
それから、その287で触れている『少将滋幹の母』のモデルだが、これははっきりは書いていないが、この本を読んで、確信した。これについてもまた後で書く。
そうそう。最後の方に意外な人物の名前が出てきた。ピアニストの原智恵子さんだ。この人はキャンティの創業者の最初の奥さんだが、思わず目が止まった。姿といい性格といい、きっと好みだっただろうなぁ。
それにしても、『聞書谷崎潤一郎』の著者が松子夫人が故人になられた後に出された『秘本谷崎潤一郎』はやはり欲しいなぁ。それと、谷崎晩年の秘書である伊吹和子著『われよりほかに─谷崎潤一郎 最後の十二年』、これは講談社文芸文庫から出ているが、どうせなら1994年発行のものも欲しいなぁ。また神保町で探してこようかなぁ。
2006-08-27
翌日、水道橋の日本書房で1994年発行の『われよりほかに─谷崎潤一郎 最後の十二年』を発見。早速購入した。これについてもまた書きたいと思う。







