その305 『町長選挙』
奥田英朗著『町長選挙』を読んだ。久しぶりの伊良部物ということで、わくわくしながら読み始めた。
この本は、『オーナー』『アンポンマン』『カリスマ稼業』『町長選挙』の4作品が収録されている。いずれもモデルが非常にはっきりしている、いわば時事コメディともいうべき作品だ。この中で、表題作も面白かったのだが、私としては『カリスマ稼業』に特に思い入れがある。
この作品は、十代の子からもかわいいといわれるくらい若くみえ、しかもそれが自然体だという44歳の女優が、太ってはいけないという強迫観念にとらわれて眠れなくなったり、とらわれはじめると所かまわず運動しだすというお話だ。
44歳というと、今の私と同じ年齢だ。モデルと思われる女優さんは私と学年違いだろう。ライバルの女優はモデルの女優と同学年だと思う。なので、常に若くありたいという気持ちはよくわかるし、ましてこの人は女優。しかも自然に若いというカリスマ的な看板ができてしまっているわけだから、その重圧は、私のように毎日「少しは痩せたら」と言われる能天気な人間とは違うのだろう。
さらに悪い(というか何と言うか)ことに、この人は一度も太ったことがないといううらやましい人だ。だから、伊良部医師のアドバイスも実に簡単だ。
最後にマユミちゃんが曲を作って歌うのだが、これが実に辛らつだ。このキャラクターは、とっても好きなのだが、今回は作者の強い気持ちが働いているのか、本当に情け容赦ない。作者がこの女優に抱いた感想については、こちらを見ていただくとわかると思うが、ラブレターズその275でどの作品だろうと思ったのは、この作品のことだったのね。
だけどねぇ、いくら作者が年齢の割に少々ジジ臭い(うちの本当に自然体で若い夫と比べて)からって、これはちょっと辛らつすぎじゃないかなぁ







