その304 『容疑者Xの献身』
久しぶりに小説の話を。
随分前になるが、東野圭吾の直木賞受賞作『容疑者Xの献身』を読んだ。長いこと直木賞候補になりながら取れなかったのが、ようやく取れたという作品だ。
この作品には、『白夜行』や『幻夜』に含まれる、特別な技能や才能を持った男性がその才能と一生を一人の女性のためだけに消費しようとするというテーマが含まれている。他の2作品と異なるところは、その女性をごくごく普通の人にしたところ。男性の方も、飛びぬけた頭脳は持っているが、自分の容姿に自信がないため彼女に積極的になれないという、これまた親近感の持ちやすい設定だ。
容姿に自信のない一人の男性が、好きな女性のために自分は何で役に立つことができるか、それを考えた先にこの結末があったというのがこの作品の主旨なのだろう。この恋が初恋だったということも大きなポイントなのかもしれない。
実際、男の人が自分の容姿を他人と比較して順位付けをしているらしいのを感じることがある。それが如実に現れるのが結婚式だ。自分より容姿の劣ると思っている男性の隣に綺麗な花嫁がいた場合、猛烈に嫉妬していたりする(^^; それをあからさまに明るく言う人はまだいいのかもしれない。もしかしたら秘かに嫉妬の念を燃やしている人もいるのかなぁ(^O^)
しかし、それにしても何でこの作品でという感はある。これで取れるのならなぜその前の2作のいずれかで取れなかったのか。そんなことをどうしても考えてしまう作品だ。







