その277 『花の影』
平岩弓枝著『花の影』を読んだ。
この本を購入したのは、私が平岩弓枝作品を集中的に読んでいた頃だと思うので、もう3年位前だろうか。たぶん他の本と一緒に購入したのだと思うのだが、なぜか記憶にない。何か読むものはないかと探していたところ、見つかった。
この小説は、春の女神の名前を持つ女性の10代から80代の姿を桜の1日に見立てて書かれている。著者自身も本の中で「時代背景も考えず」と書いているが、すべて初出(1980~81年)の頃を背景に描かれている。
1982年に同名でドラマ化された。8名の女優さんをリレーで使った豪華なものだったようだが、残念ながら私には記憶にない。が、こちらで著者本人がこの作品やドラマのことを語っている。
主人公は、18歳から24歳の間にいきなりつらい目に遭うが、その後は親代わりの夫婦の庇護の下結婚し、時に波乱を含みながら生きていく。この桜の生まれ変わりのような女性の周りでは、ある人はたまに現れては激しく愛で、ある人は彼女を苦しめるものから守るために殉じ、ある人はひたすらそばで見守る。本人はいずれはひとりになるときが来ると覚悟しつつも、かならず誰かが庇護してくれている。誰も彼女を放っておきはしない。
そんな中で、このひたすら見守るというまさに『14番目の月』のような関係が、少しさびしいながらもなんとも心地よく読者の目に映る。
この作品では、交際の申し込みはほとんどの場合第三者を介するのも印象的だ。今ではあまり一般的ではない方式だが、それでも私にも1度だけそういうことがあった。ホテルの宴会部門でお皿を洗っていた頃だ。
洗い場の責任者は年の近い人だったが、そういうところには親の世代のベテランが多くいらっしゃる。今思えば、私はその人たちの中で、随分と守られていたように思う。そんな中、父親のようによくしてくださる方から別の部門の方からのお誘いを伝えられた。一応独身だけど、勉強のつもりでというお話でご一緒させていただいたのだが、系列のレストランでの食事の後に50'sバーに連れて行かれ、そこでその方の青春時代は'50年代だと知らされた。結局相手の方も親の世代だったのね(^^;
そのような中でぬくぬくとしているのはとても居心地が良かったのだが、そうもしていられず、意を決して新たな道へと踏み出したあの頃のことを、この本を読んで思い出した。







