その269 77歳のプレゼント
きのう、久しぶりに実家の両親に会ってきた。駅に着いたら改札の向こうから両親揃って手を振っている。まことに幸せそうだ。
父は15年以上前に脳梗塞で倒れて以来、杖をついている。昨年いっとき急に歩けなくなってから電動カートを借りているが、これがとっても良かったようで、夫婦でよく出歩いているようだ。デパート内ではカートに乗るわけにはいかないので杖をついて歩いているのだが、結構しっかりしている。それでも当然ながら普通よりはスピードは遅い。
母はそんな父にお構いなしにスタスタ歩く。お茶したときに父がポロリと言うには、
「お父さんどこ行ってるのよ。探したじゃない。 と言われるけど、それはこっちのセリフだ。」
とのこと。
確かに(^^;
それでも言われた本人は理解していないようで、その様子に思わず笑ってしまったが、父も道で「大丈夫ですか?」などと聞かれるのが大嫌いで、相手は善意で言っているのにこれをとっても悪意にとる。腰など支えられたものなら、罵詈雑言の大嵐だ。そんな性格なわけで、これはこれでよいのだ。
帰り際、母が嬉しそうに腕時計を見せた。
「これ、お父さんが会社からの喜寿のお祝いで買ってくれたの。」
定年退職した会社からどうやらお祝いが出たらしい。
しかし、これは事件だ。私が記憶する限り、こんなことはまずなかった。
こんないい老夫婦になるなんて、娘としては嬉しいと同時にちょっと驚きだった。







