その172 『anego』
林真理子著『anego』を読み終わった。帯に書いてあるとおり、最後の1行で背筋が凍った。
この主人公は、人に相談されたらいやとは言えない、いわゆる姉御肌の女性だ。私にとっては憧れのタイプだ。実際、この女性は職場での評判がすこぶるいい。こういう人が幸せにならなくてどうするというものだ。
が、よくあることだが、人のことには冷静な判断を下せても、自分のことにはうまくいかない。妙に冷静に計算しようとするばかりに、せっかくの幸せを逃してしまう。こういうタイプは案外多いと思う。チラッと頭に浮かべてみても、女優さんから知っている人までズラッと思い浮かぶ。だからこの作品を読む女性は当然anegoの方に感情移入をする人が多いかもしれない。
その一方で、絵里子という女性に深い同情を抱く女性も同じくらいに多いのではないだろうか。私が思うにこの女性、夫に対する愛情と同じくらいの量の愛情をanegoに抱いていたような気がする。でも、この強烈な愛情と体ごとゆだねてくる重さは、anegoタイプにとってみればうっとうしい。それでもanegoは、頼られればすげなくできないのだ。
女性のタイプとしては対極にあるanegoタイプと絵里子タイプ。ほとんどの人はその中間のどちらか側に位置しているのではないかと思う。そして、自分は絵里子系と思っている人の場合、自分よりさらに絵里子系の人が現れれば、かなりうっとうしいと思い、ますますanegoにあこがれる。逆に、anego系からすれば、絵里子系の女性がうらやましくて仕方がない。
自分もそうなれたらどんなにいいだろうと思っているanego系はとっても多いような気がする。
余談だが、あるMLで一時姉御と呼ばれたことがある。ただ単に苗字が怖いからという理由で、本人がそういうタイプでないことは百も承知での呼び方だった。即座に「やめてくださいよぉ」って書くべきだと思ったにもかかわらず、私は嬉しくてそのままにしてしまった。







