その166 『本を読む女』
林真理子著『本を読む女』を読み終わった。今、NHKでやっているドラマ『夢みる葡萄』の原作だ。内容は林真理子の母親の半生を描いたものだ。
『葡萄が目にしみる』のときは荒削りで、ただ自分に起きたことを書いていたような、ストーリーという点ではいま1つわからない部分があったが、この作品は、主人公を1人の魅力的な人物として、完全に客体化して描いている。自分の母親のことをここまで冷静に書けるというのはすごいことで、特に父親についての描写は、完全に娘という立場から離れたものだ。だが、よく読んでいると、それは作者本人の性格とダブる面が出てきて、これは母のことを書きながら自分も描いているのではないかという思いと、はたまた、作者は母の影響をこれほど濃密に受け継いでいるのかという驚きを感じながら読み終えた。
お母さんは山梨で生まれ、途中東京、相馬、大陸と動いたが、帰国してからはずっと山梨ということで、しかも作者自身もずっとその土地で育ってきたわけで、そのことも、ヒロインの中に作者もみえてくる1つの要因なのかもしれない。
それにしても、特別大きな夢を持つわけでなく、しなやかな自分というものをもって、流されているようである部分では決して流されない。それは本を読んできたからという1本筋の通ったこのヒロイン像はとても共感がもてる。そして、この時代や、万亀より10歳位若い世代で女学校やそれ以上の教育を受けた女性の中には、多くの万亀がいたことだろう。
私の母はあまり適格ではないが、姑にはこの本を見せたいと思った。早速我が家の共有書棚に置いておこうと思う。







