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2003 年 10 月 23 日

その165 『葡萄が目にしみる』

カテゴリー: エンターテインメント — みよこ @ 12:00 AM

今、NHKで『夢みる葡萄』というタイトルで、林真理子の『本を読む女』を原作にしたドラマをやっている。なかなか面白い。で、その原作を買おうと本屋へ行ったところ、残念ながら見当たらず、その代わり、山梨を舞台にした2つの小説を求めてきた。そしてまず読んだのが、標題の作品だ。
この小説は、直木賞候補にもなった、作家林真理子の原点のような作品だ。
この小説の中で、等身大の、林真理子そのものの主人公の中学高校の多感な時代から、マスコミに登場しはじめた頃までの心の動きを、1人の同級生と対比させながら描いている。その書き方は、対比というよりも、気付いたらその人物の運命と自分の運命を並べていたような、一見あまり意図的とは思えない方法で書かれている。
自分の容姿に対する他人の反応に極端に敏感になっている主人公。それは友人から「自意識過剰」といわれるほどだ。そのような中、同性の友人に対する友情と憎悪が何の飾りもなく描かれていく。そして、その流れは読者の予想する方向には行かず、ただひたすら自伝を書いているように流れていき、それでも一気に読んでしまうほど引き寄せられ、結果的に随分と異色な作品に仕上がっている。
しかし、この主人公の描写はすごい。自分の容姿をその登場から最後のシーンまで実に細かく丹念に文字にして再現している。特に最後のシーンの服装やメイクは、その文字からはっきりと目に浮かび上がる。ああ、そういえば、そういうメイクをしていたなと。

生保の窓口をしていたとき、林真理子がそこで講演したことがあった。そのときは、マスコミに出るときのようなメイクではなく(ほとんど素顔に近い)、実に無造作に髪を縛り、とってもだるそうにマイクを持ってしゃべっていた。それでも、ところどころで「私は友達に、本当に性格がいいよねって言われるのよ」と繰り返しながらも、さすがにうまくまとめていた。講演中はメガネを外していたが、講演が終わるとすぐメガネをかけていた。その急いでメガネをかけるしぐさがとっても印象的だった。そして彼女が窓口の前を通ったとき、同僚がつぶやいた一言は、今も忘れない。それは、彼女が自意識過剰にならざるを得ないのがよくわかる一言だった。

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