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2003 年 7 月 23 日

その150 紫式部 その3

カテゴリー: 古典作品 — みよこ @ 12:00 AM

紫式部は、中宮彰子付きの女房が引っ込み思案なのでつまらないと噂されていることを、日記で気に病んでいる。紫式部によると、それは、軽薄なことを嫌う中宮自身の性質により皆が右へ倣えしているうちに、そうなってしまったと書いているが、そこに表現される中宮の性質は、まさに紫式部そのものだ。そして、中宮も噂を気にして、女房たちにももう少し男の人たちとの実務的な話の取次ぎをしっかりできるようにして欲しいと言っていると書いている。

ところで、紫式部にはとても仲のいい女房がいた。小少将の君という人で、紫式部が書くその性質はまるで源氏物語の夕顔のように頼りない。でも、この女房とは世を憂う気持ちを手紙で書き合い、出仕のときはいつも同室だったようだ。そのことを、お互いに秘密にしている通い人がいたら不都合だろうと道長にからかわれても、自分たちにはそんな秘密などないから気楽だと書いている。
どうもこの女房と紫式部は恋愛関係にあったらしいとみるむきがある。私も最初に出てきた和歌の贈答では、あまりの熱烈な訳ぶりに、「そこまで意訳しなくとも」と思ったが、大切な行事の日に、2人で局で髪をとかしあってのどかに過ごしているうちに遅刻してしまい、ばつが悪かったと書いているのを読んで、「これは…」と思った。確かに同僚女房の美しさなどを見る紫式部の筆はなめるように細かいし、うたた寝をしている同僚に、かわいさのあまりちょっといたずらをしてその同僚に抗議されたりしている。さらに、小少将の君以外にも、熱烈な歌の贈答をしている人がいる。
彰子中宮の女房たちは男性と実務的な話すらはかばかしくできなかったようなので、実質的に女性ばかりで生活していたともいえる。女性ばかりでいれば、女子高のような感じで擬似恋愛もありうると思う。そんな中で、紫式部には同性の美しさを丹念に見る性質が他の人より特に強かったのかもしれない。

そういえば、こういうこともあった。宮中で女房が2人追剥の被害に遭う事件があり、そのとき紫式部は同僚を起こしたり、現場に手荒く引っ張っていったり、身分の差も忘れて女官に自分の弟を呼べと指示したりして、活躍している。気味が悪い事件だと書きながら、その後もその裸姿が忘れられず、何だかおかしくもあったと書いている。これ、もし紫式部自身が被害に遭っていたら、それこそ自殺するくらいに嘆いただろうに…。いつもは何につけても自分に引き寄せてあわれを感じるこの人にしては珍しい反応ではある。

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