その147 死が2人を分かつまで
ある女優さんがこのところ急にきれいになった。それをマサノリに言ったら、急にキッとして「だんなが死んだから?」という答えが飛んできた。そのときわたしはその女優さんのご主人が亡くなったということを知らなかったが、マサノリの反応にビックリしてしまった。そして言うのだ。
「だんなが死ぬときれいになるっていうのが信じられないいんだよな」
それから何ヵ月かたって、ドラマでその女優さんを見たとき、「やっぱりきれいになったねぇ」などと思わず言ってしまったことがあったが、今度は返事もしなかった。なかなか強烈な反応だ。
実家の父が常々冗談まじりに
「男は妻に死なれると、後を追うようにすぐ死んでしまう人が多いけど、女はすごいよな。初めは見るも哀れになっているのに、いつのまにか前よりきれいになっていたりするんだから。だから母さん、先に死ぬなよ。」
などと言うものだから、気にしていたのだろうか。
これはもうマサノリにはぜひ長生きしてもらって、わたしを見送ってもらうしかない。
田原総一郎夫妻の『私たちの愛』という本を読んだ。奥さんが癌になったことで、自分たちの記録を残したいということで出版されたようだ。本には不倫の末結婚に至ったことが書いてあるが、じっくり読んでいると、行間にいろいろな思いが感じられる。特に、奥さんの前夫に関する記述には、複雑な女心が垣間見える。
この本には、夫妻それぞれの言葉を通して、死別してしまった夫婦、離婚した夫婦、そして死が2人を分かつ時を目の前に感じながら生きている夫婦が書かれている。







