ある女優さんがこのところ急にきれいになった。それをマサノリに言ったら、急にキッとして「だんなが死んだから?」という答えが飛んできた。そのときわたしはその女優さんのご主人が亡くなったということを知らなかったが、マサノリの反応にビックリしてしまった。そして言うのだ。
「だんなが死ぬときれいになるっていうのが信じられないいんだよな」
それから何ヵ月かたって、ドラマでその女優さんを見たとき、「やっぱりきれいになったねぇ」などと思わず言ってしまったことがあったが、今度は返事もしなかった。なかなか強烈な反応だ。
実家の父が常々冗談まじりに
「男は妻に死なれると、後を追うようにすぐ死んでしまう人が多いけど、女はすごいよな。初めは見るも哀れになっているのに、いつのまにか前よりきれいになっていたりするんだから。だから母さん、先に死ぬなよ。」
などと言うものだから、気にしていたのだろうか。
これはもうマサノリにはぜひ長生きしてもらって、わたしを見送ってもらうしかない。
田原総一郎夫妻の『私たちの愛』という本を読んだ。奥さんが癌になったことで、自分たちの記録を残したいということで出版されたようだ。本には不倫の末結婚に至ったことが書いてあるが、じっくり読んでいると、行間にいろいろな思いが感じられる。特に、奥さんの前夫に関する記述には、複雑な女心が垣間見える。
この本には、夫妻それぞれの言葉を通して、死別してしまった夫婦、離婚した夫婦、そして死が2人を分かつ時を目の前に感じながら生きている夫婦が書かれている。
昨日のEZテレビで正隆さんが正隆さんの結婚前の行動範囲は自宅中心だったとおっしゃってたが、実はマサノリも自宅派だった。時にはデート中もいったん家に帰り、用を足してから、またデートに戻ってくるということもあった。わたしはこれがとても理解できず、また、待ってていいものかどうか不安になったりして(声、小さいからね(^^;)待ちきれずに帰ってしまったこともあった。
マサノリはもともとあまり1人でどこかへ出かけたりすることはない。結婚前にテニスへの行き来以外で1人で歩いているところをテニススクールの人に初めて見られたのが、わたしが電話で呼び出したときにその場所まで歩いているところだったくらいだ。それ以外は家にいるか、テニスをしているか、テニススクールのフロントに入り浸っていた。
わたしはというと、ひとたび家を出れば、フラフラあちこちに行って、なかなか家に帰りたがらない。食事のために1人でお店に入ることもできるし、1人で喫茶店に長居をしたりすることもできる。
というわけで、デートは恐ろしく単調だったが、結婚したとたん、あちこちと2人で出かけはじめた。結婚前に1人では行けなかったところにどんどん行くという感じだ。なので会話も多い。マサノリは人見知り傾向があるので、人前ではあまり話をしないが、あれで結構話し好きなのだ。
結婚してみて相手の性格に驚いたというのは、よくある話だが、わたしの方からすれば、意外に楽しい人なのでほっとしたくらいだ。でも、マサノリの方がわたしに驚いたようだ。新婚の頃、よく言っていたことは、「こんなに気が強いとは思わなかった」だ。気が強いのではなく、新婚当時は生活環境の違いから料理の味付けから何からぶつかることが多いだけのことだったと思うのだが、でも、やっぱり気が強いのかしら。
あ、でも、わたしからすればマサノリはわがままに見えたっけ。マサノリの祖母にも「自分中心に地球が回っている」と言われていた。でも、そういうと、マサノリは「わたしはわがままじゃない!」とムキになってたっけ。今思い出してみると、何がわがままに感じたか思い出すのが大変だったりする。でもそれは、わたしのわがまま度の方が年々大きくなってきているからかもしれない。
私たち夫婦は、テニススクールで知り合った。スクールの旅行で初めて会い、それから1年後に付き合い始めた。それまで2人はほとんど言葉を交わしたことがなかったが、コーチの人たちの応援のもと、結婚に至った。
結婚後も2人ともスクールに通いつづけ、私は運動神経がないので、いつまでたってもあまり上達しなかったが、マサノリは市民大会に出るまでになった。
ユーミンのコンサートに行くきっかけは、チケットをいただいたことだ。もともと2人ともユーミンは好きだったが、コンサートに行くほどではなかった。が、このときからすっかりはまりだし、熱は年々高まる一方。遠征にまで出るようになった。マサノリの熱が高まれば、私も一緒についていく。
マサノリは、自分が夢中になるものに私を巻き込むのが上手だ。おかげで、新婚旅行のときにマサノリが言った、これからも5年に1回とかハワイに行こうという約束は果たされることはない。その代わり、昨年は香港に行けたので、まあいいか。
ユーミン熱が高まるとともに、テニスはご無沙汰になりマサノリがやめたあと、私も結局なんとなくやめることになった。私もやめると言った時、マサノリは少しうれしそうな顔をした。
パソコンは、私が興味を持ち出したのだが、マサノリも雑誌を買い集め、結局2人の趣味になった。そのため、私の仕事にも協力的で、助かっている。が、仕事関係のMLのオフ会には、マサノリは参加しない。私はマサノリに比べて巻き込むのが下手なようだ。
もう少し上手なら、もっと仕事にも役立っただろうと思うが、これでいいのかもしれない。ここでまた凝り性のマサノリが夢中になりだしたら、仕事以外の趣味が影響を受けるかもしれないし。それじゃあんまりさびしいものね。