その138 『スローグッドバイ』
石田衣良、マサノリがこのごろ気に入っている作家だ。主な作品に『池袋ウエストゲートパーク』(同名ドラマ原作)、『波のうえの魔術師』(ビッグマネー!原作)がある。両方とも、長瀬智也が主演している。
両方の作品から見える作風は「男の世界」だが、本人のあとがきによると、ミステリーが多いのだそうだ。
そんな中で、誰も死なない、犯罪も起こらない恋愛小説を集めたのがこの本だ。
デビュー間もない頃から手探りで書いてきたと、あとがきに書いてあるが、読んでみると、確かに女性読者をターゲットにした、いかにも女性が好みそうなテーマだ。過激な表現は極力避け、登場する男性はとても優しく、涙も流す。そして、ヒロインのファッションをこまごまと記述し、食べ物や映画やさまざまな小物がちりばめられている。
表題作の『スローグッバイ』は、ある元カップルのさよならデートの一部始終を書いている。こんなに辛抱強い男性がいるのだろうかという突っ込みを入れながら、一気に読んでしまった。
この短編集は20代の主人公だったが、今度は30代の男女を主人公にしたシリーズを書くそうなので、それも楽しみだ。







