その128 お仕事体験記8データ入力
生保の仕事が契約終了になった後、インストラクターの仕事はそのまま続けて、あとは単発のワープロの仕事などをして、いよいよ正社員として働く先を探す準備に入った。ここですぐ正社員の口を探しても良かったのだが、もう少し経験を積みたかった。
その中で、データ入力の仕事が2件あった。1つはホームセンターというのか、郊外型の大きな雑貨屋さんで、定期的にデータを集中入力するのに派遣社員を2日ほど雇うということで回ってきた。その1日目が私にあてがわれたわけだが、使うキーはほとんどテンキー。前にも書いたが、私はテンキーは得意だ。翌日の人の分まで食い込んで処理してしまった。担当社員は「こんなに速い人は初めてです」と言ってくれた。お世辞半分としても、ささやかな自信になった。
2つめは、はさみの製造販売をしている会社だ。はさみといっても、普段私たちが使っているような紙や布を切るはさみだけではない。「これがはさみ?」というようなものまで、実にたくさんの種類がある。そこで、その会社の各種商品管理や顧客の管理をするオリジナルシステムをソフト屋さんが入って作っていた。いよいよそこにデータを入力するというところで私に仕事が回ってきた。小規模な会社なので、パソコン1台で顧客管理、商品管理などをする。
初日にソフト屋さんがザッと説明して帰っていった。その後、はさみの会社の社長がシートに書いたデータを私がせっせと入力していった。システムはまだ未完成の状態で、リンクがつながっているところもあれば、つながっていないところもあった。入力しながらそのソフトの中をあちこちを探検した。社長は日常業務に加えてシート記入の作業をしなくてはならない。入力は進むが肝心のシートが追いつかないため、予定日数をオーバーした。ソフト屋さんから私に電話が入り、叱られたが、すかさず社長が出て説明してくれた。
この会社では随分よくしてもらった。時間が空いたときには、工場に行って、作業を見学させていただいた。とにかくアットホームな会社だった。で、いよいよ終わる日には、社長からそのソフトの使い方について説明を求められた。未完成のもので、私はただデータ入力のために雇われた者なのだが、わかる範囲で教えてくれとのこと。とりあえずリンクがつながっているところだけ説明した。ソフト屋さんとしては迷惑なことだろう。
このデータベースシステムの構築に立ち会えたことは、後にデータベース作成から組版、印刷まで持っていく仕事を受注するときに役立った。こういう発想は、組版畑でずっと来た人にはあまり理解されない。生保とはさみメーカーの仕事の経験、さらには出版社での営業事務の経験が、本や雑誌に書かせていただいたワークフローを発想させた。







