その120 リーダーシップ
真藤恒NTT元総裁が、先月亡くなった。このニュースを聞いたとき、新卒で入った出版社でダメOLをしていたときのことを思い出した。
その出版社はNTT関係の本を主体に出している会社だった。で、私が入社してすぐにこの人が旧電電公社の総裁になり、あの巨大な組織を動かし、NTT民営化を果たしてNTT初代総裁に就任した。景気がよかったこともあるし、NTTの事業がとりわけ有望視されていたこともあるだろうが、とにかく活気があった。株式会社テレカ(現NTTテレカ)ができて、テレフォンカードの代理店がどうのこうのと言っていたっけ。岡本太郎画のテレカも記憶にある。不採算赤電話の廃止については、日本全国でいろいろなことがあったであろうことも、そういう出版社にいると見えてきた。
地域によって回線使用料が違うのを知ったのはNTTになってからだった。明細書が発行されるようになって、それを見てみると、回線使用料だとか、付加使用料だとか、訳がわからなかったっけ。各基地局の等級も、当時とはまた変わっていて、あの頃は5等級まであったけど、今は3等級までらしい。いかに変化が激しかったかがわかる。
「電電語」というのも印象的だった。1つの組織に入って仕事をしていると、そこでのローカルなやり方が万国共通の常識だと思ってしまうことがある。縦の組織の言うことは聞くが、電話局長の言うことは聞かないとか、お客様という意識がないとか、いろいろな意味がこめられていたと記憶している。
一般の会社でもそういうことはある。技術職など、ローカルルールの集まりだ。けれど、それぞれの職人は、自分が親方から教わったやり方が全てだと思っているわけで、たまに違ったやり方を持ち込まれると、そんなやり方があること自体が信じられない。例えば美容師の技術も、それぞれローカルの流儀で代々の師匠から受け継がれていると、テレビで言っていた人がいたが、そういう風に思っている美容師はどれくらいいるだろうか。
ごくごく小さな組織でも大変なことなのに、真藤元総裁がやったことがいかにすごいことだったか。
それにしてもあのダイナミックな改革の嵐。今の停滞感が支配している時代からみると、別世界のように感じる。
ただ、これだけすごいことをやってのけた人でも失敗することがある。そのために晩年はさびしいことになってしまったが、それだけに、亡くなったというニュースは特に心に残った。







