その107 東京タワー
田口ランディの本が、まだ他にもないかとマサノリのベッドを探したところ、江国香織の『東京タワー』が出てきた。ということで早速読んでみたところ、どうもこれはマサノリの分野ではなく、私の分野のようだった。で、マサノリになぜこの本を買ったか聞いたところ、
「だって、東京タワーだから…」
やっぱり…。
この小説は、大学生の男の子2人が、自分の母親と同じくらいの年齢の女性と交際するお話だ。マサノリに感想を聞いたところ、出てきた言葉は
「ペタジーニ」
マサノリにしてみれば、自分の母親と同じくらいの年齢の女性に恋心を持つなどということは信じられないことのようだ。でも、それくらいの年齢の男の子は年上に興味があったりするのではと聞いたところ、せいぜい10歳くらいまでだよなぁとのこと。
小説のあとがきには、「そんなに若い男の子たちに、おそらくは不覚にも恋をした、 二人のあまり若くない女たちに敬意と同情を禁じ得ません」という作者自身の言葉がある。小説は男の子の側から書かれているため、この女性たちの心情については、その言葉などから想像するしかない。
一人は「私があなたに会うためにこんなに腐心しているのに、あなたは私に会いたいとは思わないのよね」と、歳相応の彼女とも付き合っている相手に怒りをぶつけ、もう一人は「一緒に暮らしたい人と、一緒に生きたい人は別なの。あなた、夫と私のところに引っ越してくる?」彼女を独占したいと思い始めた男の子に対して答える。
それぞれ、男の子の側から読んでいる読者からすれば、何を勝手な…と思うところだが、夫とは別れたくないが、でも、男の子に恋をしている女性の心情が読み取れてくる。ただ、一つ気になったのは、引っ越してくる?と言った彼女の夫が、彼女と大学生の間にあるものを知っていると思われること。この夫婦の関係には、いろいろ想像が膨らむ。一見幸せそうな彼女の中の空洞が透けて見えてくる。
私は一時、恋愛関係の小説やエッセイなどを片端から読んでいたことがある。それに対してマサノリは遠慮がちに苦情を述べていたが、ある日、仕事から帰ってきたら私のベッドにカバーを外したそれらの本がうずたかく積んであった。さすがにそれらの背表紙を並べて見ると、マサノリがよく言っていた「あんたの読む本は変なのばっかり!」という怒りの弁も納得できた。
でも、いいじゃない。想像するだけなんだから(^O^)
マサノリがこの本を私に薦めなかったのはよくわかる。







