その90 二条、奈良へ
とはずがたり第9弾。
善光寺から戻り、いよいよ都へ戻るべく、二条は旅立つ。その際に、飯沼左衞門尉という人から旅衣を贈られる。どうも、この人の家には度々遊びに行って、連歌などを行っていたため、噂が立ったらしい。
で、そのときの歌なのだが、
着てだにも身をば放つな旅衣
さこそよそなる契りなりとも
である。これ、曙が二条が院と契ることになったときに贈ってきた鶴の毛衣の歌に似ている。
また、この飯沼左衞門尉は、新将軍を都から迎えるときに、前の将軍が通ったところは縁起が悪いので、「足柄山とかやいふ所へ越え行くと」聞いたと書いている(増鏡では、理由は同じだが、「足柄山をよけて」となっている)。なんだか曙っぽい行動だ。この人についての記述はあちこちに何気にちりばめてある。
なお、この日記を書いた頃にはこの人は亡くなっている。
そして、いよいよ都に戻るが、すぐに奈良、つまり春日大社へ向かう。その際に、自分は藤原氏ではないから、そちらの方はそんなに行ったことがなかったが、近いから行くことにしたと書いている。言い訳っぽい書き方だ。照れているようにも見える。しかも、あえて春日と書かずに「奈良」である。で、誰がゆかりかというと、曙である。
そういえば、最後の方に遊義門院と石清水で会ったときも、奈良から来たと言っていた。







