その62 ファイル読み込み中
「いが」で止まってしまうあのCM。ネットをやっている人なら思わず笑ってしまうだろう。
でも、こういうことは、何もCMの中だけでなく、実際にそうなってしまうこともある。
たとえば親しい人と食事中に仕事のことを考えていること、あるのではないだろうか。そういう時はきっと、顔の表情も止まっているような気がする。
実は私がそうなのだ。食事をしながら、頭の中でアーダコーダと考えている。
でも、これって一緒に食事している人には随分失礼な話である。よく恋人同士で、彼が突然無表情になったときに、彼女が気を揉み出すというパターン。別に相手に怒っているわけでも何でもなく、ただ、考え事をしているだけなのだが、彼女からみると、とてもそうは思えない。結果として、何でもないことが、大変な喧嘩となり、ついには別れ話になったりする。
彼も急に問い詰められると、とりあえず防御態勢に入って、時には致命傷とも思える言葉を彼女にぶつけることがある。いわく、「妄想癖じゃない?」「ストーカー?」。
もちろん彼が本気でそう思っているわけではなく、とりあえず自分を守るために出てくる攻撃なのだ。
でも、言われた彼女はとてもそうは思えない。
「え?私って本当にそういうところがあるのかしら。彼にそう思われているのかしら」
大変な傷になる。でも、どう考えても彼からそう思われているとは思えないので、妄想と言われようがなんと言われようが、納得がいくまで食い下がろうとする。もう一度聞けば今度はいい返事が来るだろうと期待して、また同じことを繰り返す。
2人の間に何も問題がなければ傷は深くならずに済むかもしれない。でも、その喧嘩がきっかけで、彼が「こんなことでこういう喧嘩になるのなら、お互いのために、別れた方がいいかもしれない」と思ってしまった場合、どんなに未練があろうとも、それをはねつけようという態勢に出る。
会って話をしても、彼はもう別れる態勢に入っているので、彼女が何を言っても自分がグラつくのを防ぐために、またさらに致命傷を負わせる。
彼女は納得したいだけなのだ。それと、自分に向けられた人格攻撃を訂正してもらいたいのだ。何としても。
でも、これを繰り返すと泥沼にはまる。
こういう時は、とりあえずその問題は忘れて、少し冷却期間を置いてから、新しい気持ちで会うといいかもしれない。でも、彼がもし言い過ぎた、もしくは言葉が足りなかったと思ったら、その点だけはしっかりと彼女に伝えないと、彼女はその後劣等感に苛まれるか男性不信に陥る危険がある。
これは、私自身の経験と、素人参加番組やドラマでの男性のセリフ、国会中継などで思ったことである。
私は自分が「ファイル読み込み中」になるので、それを何でもないことと見逃してくれる夫に感謝している。ときどき申し訳ないと思いながら。







