お急ぎですか?
アメリカのドラッグストアのお客さんを眺めること4年弱、日本と比べてたいがい奇抜でいろいろなお客さんがいますが、それはさておいて、何が主に目立つかというと、ほとんどの(60代くらいからのご年配を除き)お客さんが急いでいるようだという事。急いでいるのと同時に態度も又荒々しいのです。
急ぎすぎて買ったものをすっかり忘れ、すまし顔ですーっと出口に向うお客さんや、急いで袋を引っつかむようにして立ち去る為、2つや3つある袋のいくつかに気付かず忘れていくお客さん。レジに長時間いることでもあれば日に必ず1人や2人出くわします。こちらも暇で気が付けばその場で叫ぶか、出来れば追いかけるので、我に帰った方は即引き返してきますが、たまに車まで行ってからとか、忘れたまま戻ってこない人もいます。そういう事にまで目を光らせていないといけないので、面倒みるのも大抵なこっちゃない。
その中には特に急いでいて、何か時間に迫られているというより、イラつきが動作に表れているとでも言えば良いでしょうか、相当なストレスを抱えているような感じのお客さんも多々おられます。
今日はそんなお客さんの1人がコメディーのような一幕を繰り広げた出来事がありました。
50~60才代と見られる女性が店に飛び込んで来るなり、第1レジの横の‘マネージャーズチョイス’と呼ばれるその月々の商品の列からパッと1つをとり私のいた第2レジにやってきてこうまくし立てました。「It didn't work!!! I just want to exchange to this one.(使い物にならなかったわ!!! これと交換して。)」と言うので、私はちょうどたまたま隣のレジにいたアシスタントマネージャーを指して「OK, she can take care of you.(わかりました。彼女が処理しますので)」と言いました。そう私が言い終わるか言い終わらないうちに、彼女は返品交換の商品を引っつかみ、隣のレジに移動しようとしました。
返品交換は基本的にマネージャー格の人が専用の鍵をレジに差し込んで処理しますが、1人では自由にできず、誰か他の従業員がサインインしたレジでないとできないのです。
そうとも知らないその女性はそこで咄嗟にマネージャーのいる隣へ自ら移り早く事をすませようとしたのです。あまりの荒々しい取り扱いに、返品する商品は箱から飛び出て、他の何やら部品のようなものと一緒に床に飛び、ジェリー状の液体も床に飛び散りました。「You have to stay here!(こちらにいて下さい!)」と私。大慌てでそれを拾いに飛びつこうとした彼女。5段腹が(スミマセン)重たかったのでしょうか、ショートパンツから出た足をがに股にしながら前のめりにスッテンコロリ。それでも商品をかき集めて箱に戻し、今度は言われた通り私のいるカウンターに戻りながら「It spilled!! It spilled!! Someone is going to slip! (こぼれちゃったわ!こぼれちゃったわ!誰かがすべるかもしれない!)」と騒ぎ始めました。
私達は口を揃えて「That's OK, we can take care of it. (大丈夫です、私達が片付けますから。)」とか「Don't worry about it. We are going to take care of it. (心配なさらないで下さい。私達が処理しますから。)」と言っているにもかかわらず、「Give me the ad paper, I can even wipe with it. (その広告の紙をかして、それでもふけますから。)」とあくまで引き下がらず。そこでアシスタントマネージャーが私にカメラ売り場にあるペーパータオルで拭く様に言い、私がカメラ売り場から取ってきたペーパータオルでさ~っと拭いて 事は一件落着しました。
お気の毒にそのお客さん、過激な急ぎ腰がとんだ墓穴を掘る事になり、さぞかし恥かしかった事とお察ししました。おかげさんでこちら、愛想笑いも多くしなくてはならない単調な事の多い仕事場で、心から笑える時間を作ってもらいましたが....... ありがとう、お疲れさんです。
そのお客さんには無表情を通していましたが、それからしばらくの間、スローモーションで走馬灯のように思い出し、楽に笑顔が作れました。イライラ急いでいてもこういう超ドジな方は笑わせてくれのでOKとしましょうか。でもくれぐれも急ぎすぎには気をつけて、お怪我されないようにして欲しいですね。


