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連載“酪農フォト短歌”NO8
Posted by kome111 on 10 月 30, 2011
酪農フォト短歌8作目が掲載されました。
草原に エンジンの音 たなびきて 干し草薫る 少年の頃
<Essay>
私は干し草の匂いが好きだ。
足元から特有の匂いがまつわりつく乾燥した干し草が、一面に広がる畑や田圃の畦畔を歩くのが好きである。
「香りの錬金術は南仏プロバンヌの穏やかな草原も、東洋のエキゾチックな快楽も、エレガントな女性が闊歩する大都会も誕生させる。
唇に笑みを、目に涙をもたらせる。そして人を遠ざけも引き寄せもする」とロジャ・タブは云っていた。
また、エレガントさとはまったく縁もゆかりもない独特な匂いとして、微かに聞こえてくる読経に耳を傾けながら境内に入ると、実に豊かで心落ち着くお香の柔らかな匂いが広がってくる。
その何とも言えない心落ち着く香りのように、私にとっては少年時代の思い出が干し草の匂いに沁み込んでいるのである。
嘗て我が家でも2頭ほどの乳牛を飼っていたことがある。
サラリーマンだった父の希望で購入したと記憶しているが、その牛の世話はもっぱら教員を退職した祖父の係であった。
私は小学校から帰ると直ぐに祖父のもとへと駆け寄ったものだった。
干し草を取り込んでいる祖父の傍らで嗅ぐ匂いは、医学の父と呼ばれたギリシャのヒポクラテスの著書『金言』の中で、女性の治療の為には芳香浴が良いと述べられてあったが、私の芳香浴は正しく干し草の匂いによるものであると思っている。
燦々と降り注ぐ太陽の下、心地の良い秋風に吹かれ乾しあがった干し草の匂いを嗅ぐ度に、今は亡き、祖父の優しさや頑丈な背中を思い出すのである。
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