母、来たる
わたしの家族は食べることばかりである。
ひさしぶりに母にあった。

よく冷えた梅酒とサングリア。兄のお嫁さんが作ったもので、母は昨年もこれを飲んでいて、とても気に入っていた。彼女は今年も作っていて振る舞ってくれた。おいしいわね、これ。そうそう、おいしいといえばね、と食べ物の話になる。壇流クッキング・池波正太郎、そして美味しんぼ。近くの駱駝屋という古本屋で美味しんぼが全巻そろっていたのに買わなかったよ、次に行ったときにはもうなくてねと母は残念そうだ。一同、それは惜しいことをしたと口々に言う。
フランス料理を食べる。兄の友人もやってきた。気さくな感じのお店の中で、各々が頼んだものがおいしいと、わたしたちの間で皿が行き来する。このソースがいいとか、サラダ・パスタそしてメインへの流れがどうだとか、とにかく食事について話す。デザートまで食べ終わり、わたし今日の選択はすべて正解だったわと母はいい、兄の友人はダイエットのために二駅先まで歩いて帰るとフレンチフライ片手に帰って行った。

もんじゃを食べに行く。浅草寺で待ち合わせ、けむりをかぶり、梅園で宇治金時とあんみつ。お姉ちゃんは頭を抱えながら、母はあっさりわたしの前に器を置いて、かき氷をかたづける。そして早速のもんじゃ。そもそもはじめてのもんじゃである母は失礼にも、いつドロドロではなくなるのか、という質問をあろうことかお店の方にする。しかし彼女は気に入ったようで最後はよく食べていた。

そして手作りブラシ店にて梅の毛の歯ブラシを購入。これでステインも落ちると皆買う。氷を入れることができる日本酒用とっくりを探す。これを使えば、冷たい日本酒が薄まらずに飲めると母。そして池波正太郎記念文庫にも立ち寄る。興奮する。

ホテルは五反田。五反田といえばおいしいフランス料理屋さんがあるだとか、ちょっと行けば、品川にオイスタバーがあるだとか、兄と母。じゃあ、行ってみようかとなるかというとならない。辛いものが食べたい気分の母を尊重して韓国料理屋にいくことになる。ちなみにホテルの前にも韓国料理屋があるのだが、なんともタイミングがいいことに、その日から改装に入ってしまった。こんなことなら昨日中華にしなければよかったわ、そこのワンタンなかなかおいしかったわよと母。韓国料理屋に向かう途中、軽く飲もうということになり静かな雰囲気のレストランバーに入る。そこでたっぷりと飲む。馬のたてがみまで食べる。さて帰るのかと思えば、そこから韓国料理屋に行った。マッコリを飲む。間違わずに注文できてよかった。こんなところにこんなおいしいものが、と母もそしてわたしも大満足であった。
とにかく食べることばかりだった。だから最近どうしているの、とか、聞かれることもなく、言うこともなく。静かに思うばかりであった。